グッバイ ブルー

今日あった嫌なことを報告したい。
いきなり不穏な書出しで申し訳ないのだけれど、僕の感情を吐き出させてほしい。この気持ちをみんなと共有することで少しでも薄めたい。助けて。


今日、通勤バックの中で水筒の中身が漏れてた。
……たしかに大したことないかもしれない。でもこういうのが地味にダメージを受けるものなのです。


電車に乗って席に座り、カバンを膝の上に乗せるとホンワカと温かい。すわ!漏らしたか!?と焦って見ると股間に染み。朝7時半に本日終了の鐘の音が鳴り響く。35歳にして漏らしてしまった!や、でも、30越えたしね、尿線も緩むしね、僕のせいじゃない、自然の摂理、とりあえず会社休んで家に帰ってビール飲んで寝よう、妻には黙っておこう、と猛烈に自己擁護しているとカバンの下も濡れてることに気づく。さらに放尿時の開放感……っていうか、達成感的なものもない。
これは!とカバンの中を見てみると、底で水筒の中身の麦茶がちゃぷちゃぷ言ってる。温めた麦茶が湯気を出してる。カバンの中身がインザプール。オーイエー!


とりあえず立ってみるとポタポタとカバンから水滴が染み出してくる。麦茶もしたたるいい男。
中を確認してみると、本、ポーチ、イヤホン、充電器、手袋が水浸し。痛いのは財布。革がフニャフニャ……。まじかー!
電車の中で立ちながら一生懸命に財布を拭いてると、車内に漂う麦茶の香り。あの暑い夏の日を思い出す。前に立つ女子高生二人組が「なんか臭くない?」とか言い合ってる。そんな話、聞きたくない!僕は関係ない!と水浸しのイヤホンをカバンから取り出し耳に突っ込む。再生ボタンをオン。流れ出るは小田朋美さんのアルバム『グッバイブルー』より『北へ』。繊細な歌声で「あの港町まで連れて行ってください。父親になれとは言わないから。連れて行ってください」重たい!と着けたイヤホンをすぐに外す。ワタワタしてる僕を胡散臭気な目で睨む女子高生たち。カバンの中から濡れたティッシュが出てきたところで、彼女たちは車両を変えていった。


そんな出社。今日は仕事もパッとしなかった。もう帰ります。飲みます。